借地権にかかわる税務の問題について詳しく解説!
お気に入りに追加 知り合いに教える
顧問料不要の三輪税理士事務所
ホーム >6.借地権の取引慣行があるかないか
6.借地権の取引慣行があるかないか
権利金を授受する取引きの慣行があるかどうかは、その場所の借地権割合で判断します。その割合が30%未満であれば、借地権の慣行がないものとみなされます。



7.借地権の認定課税がある場合

借地権の認定課税は、地主が会社か個人か、借地人が会社か個人かによって次のように取り扱われます。
1.地主が会社の場合
(1)借地人が会社の場合
地主である会社には、借地人に借地権相当額の寄付金をしたものとみなして認定課税がされます。一方、借地人である会社には、借地権相当額の受贈益があったものとして認定課税されます。
(2)借地人が地主会社の役員又は使用人である場合 
地主である会社には役員又は使用人に借地権相当額の給与を支給したものとみなして認定課税がされます。一方、役員又は使用人には、借地権相当額の給与所得があったものとして認定課税されます。
2.地主が個人の場合
(1)借地人が会社の場合 
地主個人には認定課税はありませんが、借地人である会社には、借地権相当額の受贈益があったものとみなして認定課税されます。
(2)借地人が個人の場合 
地主個人には認定課税がありませんが、借地人個人には、借地権相当額の贈与があったものとみなして認定課税されます。(使用貸借の場合は課税関係は生じません)


地主
借地人
会社
個人(地主会社の役員、使用人)
会社

地主:認定課税(寄付金)あり

借地人:認定課税(受贈益)あり

地主:認定課税(給与)あり

借地人:認定課税(給与)あり

個人

地主:認定課税なし

借地人:認定課税(受贈益)あり

地主:認定課税なし

借地人:認定課税(贈与)あり



8.地主個人に認定課税がない理由
 

会社の土地に借地権を設定した場合には、権利金の授受がないと、その会社に権利金の認定課税があります。しかし、個人の土地に借地権を設定した場合には、地主個人には認定課税が行われません(ただし、借地人には認定課税があります)。これは、個人の場合は、必ずしも経済的利害だけで行為が行われないことから、所得税法では、無償による資産の譲渡や無償による役務の提供は、別段の定めを除き収入金額があるとみなさないとしているからです。それで、地主個人には、権利金の認定課税がないのです。

 



9.認定課税される権利金の額(法人税)

会社が借地権を設定した際に、通常の権利金の授受がない場合には、認定課税が行われますが、この場合に行われる認定課税の金額は、次の算式で計算した金額となります。ただし、この算式により計算した金額が、通常収受すべき権利金の額を超える場合は、その通常収受すべき額となります。この場合の通常収受すべき権利金の額とは、たとえば更地価額に借地権割合を乗じた額などをいいます。
認定課税される金額=土地の更地価額×(1−実際の地代の年額)
                             ────────
                              相当の地代の年額

相当の地代=土地の更地価額×おおむね年6%
※1権利金を一部授受している場合や経済的利益の額がある場合は、その額を控除した金額に対して課税されます。
※2相当の地代は、権利金や経済的利益がある場合であっても、ないものとして計算します。
(例)
・土地の更地価額(時価)      2,000万円
・その土地の相続税評価額    1,400万円
・借地権割合             60%
・通常支払うべき権利金       1,200万円(時価)
・実際に支払っている地代年額    60万円
・相当の地代の年額         120万円

@実際に支払っている地代に見合う権利金の額
土地の更地価額     実際に支払っている地代年額
2,000万円   ×(1−         60万円       )
               ─────────────
                  相当の地代の年額
                      120万円
=1,000万円
A通常支払うべき権利金の額
1,200万円>1,000万円 ∴1,000万円
B認定課税される権利金の額
1,000万円
1.おおむね年6%の考え方
相当の地代を求める計算式のおおむね年6%というのは、相当の地代として収受すべき額(実際に収受する地代の額)を算定するための目安の率にすぎません。つまり、地代の額というのは、その土地の利用状況によって決まるものですから、場所によってはこれを下回ることもありますし、必ずしも年6%を取らないといけないということでもなく、それがおおむね年6%であれば相当の地代として認められるということです。ただし、それはあくまでも実際の地代の額が相当の地代の額の許容範囲であれば、しいて認定課税をしないというだけで、認定課税が行われる場合には、年6%の率によって求めた額に基づいて行われることとなります。
2.土地の更地価額
認定課税される金額を求める場合の土地の更地価額とは、通常の取引価額(時価)のことですが、時価が明らかでない場合は、公示価格等から合理的に求めた価額によります。
3.相当の地代を求める場合の土地の更地価額
この場合の土地の更地価額とは、その借地権の設定時におけるその土地の更地価額としての通常の取引価額をいいますが、課税上弊害のない場合には、通常の取引き価額に代えて、@公示価格から合理的に算定した価額、A相続税評価額、B相続税評価額の過去3年分の平均額によることもできます。課税上弊害がある場合とは、たとえば、その役員が使用する土地を会社が借入金で取得し、利子を支払う一方で、その役員にはその土地の相続税評価額の年6%程度の地代で賃借するような場合をいいます。



10.認定課税される権利金の額(贈与税)

個人間で土地を賃貸借する場合、権利金の授受がないと借地人に対しては、借地権相当額が贈与されたものとみなして贈与税の認定課税が行われますが、この場合に行われる贈与税の認定課税の金額は、次の算式で計算した金額となります。 
認定課税される金額=

自用地価額×借地権割合×(1−実際の支払地代の年額−通常の地代の年額)
                     ──────────────────
                      相当の地代の年額−通常の地代の年額

相当の地代=(自用地価額の過去−実際に支払った権利金の額×おおむね
の年額     3年間の平均額    及び特別の経済的利益の額) 年6%

※1 自用地価額は、相続税評価額を用います。
※2 借地権割合は、国税局長が定めた割合(路線価地図に記載されたもの)を使います。  
※3 相当の地代の年額は、支払った権利金の額等がある場合であっても、これらの金額がないものとして計算した金額によります。
※4 通常の地代の年額は、その地域において通常の賃貸借契約に基づいて支払われている地代を基に計算しますが、その額が不明な場合は、次の算式によって求めた金額を通常の地代としても差し支えありません。
通常の地代の年額=自用地価額×(1−借地権割合)×6%

(例)
・土地の更地価額(時価)         2,000万円
・その土地の自用地価額         1,400万円
・自用地価額の過去3年間の平均額 1,500万円
・借地権割合                   60%
・実際に支払っている地代年額     61.8万円
・通常の地代の年額            33.6万円
・相当の地代の年額             90万円


認定課税される金額=

自用地価額×借地権割合×(1−実際の支払地代の年額−通常の地代の年額)
 1,400万円   60%           61.8万円          33.6万円
                     ──────────────────
                      相当の地代の年額−通常の地代の年額

                          90万円          33.6万円

=420万円


 

                           決算診断、決算書の説明は

前ページへ次ページへ
▲ページトップへ